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執筆者の写真ハートフル 株式会社

おひさまdekiru Studyだより (R.4 vol.25)8月8日号 前編




『発達障害の診断について』(前編)


 最近、芸能人の方が「脳波をとったらADHDだった」と告白したというニュースを目にしました。ネットニュースでも盛んに取り上げられていたので、目にされた方もいらっしゃると思います。これを見られて、『うちの子、脳波とってないのに診断されてるわ』と心配になった方もおられるかもしれません。今回は、ADHDの診断について主に説明し、自閉症スペクトラムの診断についても軽く触れたいと思います。


 発達障害の診断には、アメリカ精神医学会が出版しているDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)という診断基準・診断分類を使用します。もともとはアメリカで作られたものですが、現在は国際的に利用されており、日本でも精神疾患等の診断に用いられています。DSM-5の「5」というのは第5版という意味です。第4版から診断基準や診断名がアップデートされて第5版となりました。例えば、以前はアスペルガー症候群や高機能自閉症という診断名がありました。しかし、これらの障害は別々のものではなく連続した障害であるという見方が新たに採用され、それら全てをひっくるめて”自閉症スペクトラム(自閉スペクトラム症)”という診断名に変わりました。


 このDSM-5を使ってどのように診断するのかを、ADHDの診断を例に説明してみます。DSM-5のADHDの項目には、不注意症状、多動性・衝動性症状の18項目の中でいくつ当てはまるかなど診断の基準が記載されており、それを元に診断を行います。その際、保護者が記入する質問紙形式の検査を補助検査として用いる場合もあります。てんかん等別の病気の可能性を排除するために、脳波の検査を実施することもあります。また、知的障害の有無を確認したり、IQの偏りを調べるために、知能検査や発達検査を並行して実施することもあります。自閉症スペクトラムについても診断の大まかな流れは同じです。過去には、知能検査でIQの偏りが見られた場合に発達障害であると診断する医師もいましたが、その方法は正しい診断方法ではありません。DSM-5という診断マニュアルを元に診断する方法が一般的な診断方法です。


臨床心理士・公認心理師 福原華奈


(後編へ続く)

 

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